キャバクラ店に入店した私は、右も左も分からない業界でただただ食っていくためだけに必死に仕事を覚え、働きました。
その結果、ある程度の指名が取れるようになりました。
ある日、会社役員をやっているという高木(仮名)という男に出会いました。
私を指名した人でした。
いかにも稼いでいると言った見た目でしたが、話し方や身振り等は誠実そのものでした。
次第に私は高木にのめりこむようになりました。
ある日、高木から食事に誘われ高価な指輪をプレゼントされました。
「今すぐでなくてもいい。将来一緒になろう。」
初めて人から愛されたと思った瞬間でした。
嬉しくて涙が止まりませんでした。
その後、高木と結婚を前提に付き合うことになりました。
結婚を意識するようになり、より高木の事を知りたくなりました。
会社役員とは聞いていたけど、何の業種の会社なのか?
それを尋ねると、逆に高木の方から
「夢はないのか?」
と聞かれました。
私は幼い頃から女優になりたいという願望はありました。
中学時代に非行に走って以来、そんな事すら忘れていましたが、ふと思い出したかのように
「女優は憧れるかな」
と答えました。
すると高木は、胸ポケットから名刺を取り出しました。
高木の名前が書かれたものでした。
そこに書かれていた会社名は、多くの有名俳優が所属していて誰もが知っている芸能プロダクションの名前でした。
高木は
「女優にさせてあげるよ」
と一言私に言いました。
私は驚きましたが、それとともに大きな光が見えた気がしました。